11月19日早朝川内の我が家を出て松山空港に向かう。関空行き飛行機は8時過ぎ定刻どおり関西空港に向かって出発した。私は窓際の席を確保していたので眼下の景色を楽しむ。来島大橋、瀬戸大橋、鳴門大橋、最後に明石海峡大橋と瀬戸内海にかかる巨大橋を全部見てしまった。

関西空港に到着したが今度はイギリス出発時間まで3時間有る。搭乗手続きを済ませたあと今度の出張に必要なので買おうと思っていたものを探す。本屋で<るるぶイギリス>と<英会話>そして週刊誌とメモ帳を買った。次は電子辞書を買う。これは電子辞書と世界時計そしてアラームが付いた優れもののはずだ。それと小物だがキーホルダーを2個買った。これはスーツケースとは別にザックを背負っていくのだが、このファスナーが勝手に開いてしまわないように、このキーホルダーでファスナーを引っ張る部分を固定してしまおうという考えである。町中でいつのまにか背中に背負ったザックののファスナーが開いて中身を紛失しないために思いついた。

両替所で5万円をポンドに交換する。300ポンドだった。端数は日本円で小銭が返ってきた。紙幣を見るとすべてエリザベス女王の顔が印刷されている。<早くいらっしゃい>と私に微笑みかけてくるのだ。

機内に入り自分の席32Eを捜す。国内線の飛行機のつもりでどんどん後ろに向かって歩いていき上を見上げると50番くらいだった。あわてて前に戻る。32Eはテレビ画面の前だった。これは良い。
理由1.大画面でテレビが見える。他の座席は前の座席の背もたれに付いている小さな液晶テレビなのだ。
理由2.普通の席よりも足元が広いし前の人がいきなりリクライニングを倒してコーヒーをこぼすこともない。

私の左はインド系の若い女性。右はビジネスマン。さらに右は若い日本の女性。これで登場人物の紹介は終わりだ(映画のプロローグじゃないぞ)

12時ごろ定刻よりも15分遅れで飛行機が動き出した。モニター画面を見ると前を行くジャンボのお尻を狙っている。
12時10分ごろ離陸。いよいよ初めてのヨーロッパへ。

出張に行く前に経験者から受けたアドバイスがいくつか有るが、そのうちの一つが携帯のスリッパを持って行けば飛行機の中で足が楽だということだ。ところがスリッパは持ってきたのだが頭の上の荷物入れの中だ。右側の男性は靴を脱いでそのままだったので私もそうする。

13時ごろ昼食を配り始めた。和食か洋食か聞いてくるのでもちろん和食にする。和食には蕎麦が付いていた。私は海外出張は5回目でその回数分だけは機内食を食べたことになるが、蕎麦は出てくるがうどんが出たという記憶はない。何故うどんは出ないんだ?香川生まれの私としてはJALに抗議したいところだ。しかし抗議する権利を保有すると宣言するにとどめておこう。だって<何故うどんが出ないんだ>と抗議したら、この先シベリア上空通過時に突き落とされてはたまらない。

左のインド系女性が足元でなにかごそごそ引っ張り出そうとしている。オッなんと液晶テレビではないか。私も負けじと引っ張り出した。しかしこの小さな画面を見つづけていたら疲れると思い音楽を聴くことにする。いろいろなジャンルの音楽があるが日本のポップスにしよう。知らない歌手や歌も入っていたが丁度シーズンということもあってクリスマスソング特集も組まれていた。山下達郎、ユーミン、稲垣潤一など日本のクリスマスソングの定番になっている曲が聞こえる。しかし山下達郎は何故竹内まりやをゲット出来たんだろう?<1曲作ってあげるから・・・>と言って迫ったんだろうか?

テレビ画面にはその時の飛行コースの地図が出ている。この時気付いたが日本海が<SEA OF JAPAN>になっている。この名称は日本だけで通用するんだろうか?それともロシアでも通用するんだろうか?SEA OFJAPANなんてエリツィン大統領が認めるわけがない。あれっエリツィンってもう死んだんだっけ?今のロシア大統領は誰だったかな。ほら、日本に来る度に柔道着に着替えるアイツだ。

15時ごろ小用を足そうとトイレに向かう。何人か行列している。白人の5歳くらいの女の子とその母親は靴下も履かずに裸足である。欧米人はベッドに入るとき以外は靴を脱いではいけないとお婆ちゃんからしつけられているはずでは無かったのか?そのしつけが出来ていないということはこの親子のお婆ちゃんは日本人に違いない。

この時間になると窓のシャッターが下ろされる。

あと9時間。何回食事が出て何回トイレに行くんだろう。

小さな液晶画面でテレビを見るつもりは無かったのだが退屈さのあまり1本見てしまった。ミュータントが登場する映画でスタートレックの船長が出ていた。

ナビゲーション画面を見るとシベリア上空を通過したようだ。といってもどこからどこまでがシベリアか知らないんだが。ロシアでもヨーロッパ側のロシアとアジア側を分ける山脈の手前まで来ている。

19時ごろ夕食を配り始めた。と思ったらおにぎり1個だけを配っている。「梅か鮭かどちらか?」と聞いてくるので「両方はダメですか」と尋ねると「食べない人が居たら持って来てあげます」と言う。そんなことしなくていい。「梅」を頼んだ。@で引っ張ってAで開いてBで包んでという例の私の苦手な方式である。しかし今日はうまくいった。1ヶ月の出張の前途は明るい。

「ロンドンまでこれだけですか?」とさらに恥をしのんで尋ねると「いえ、これはおやつです。もう一回食事が出ます」との返事だった。良かった。

おやつが終わると窓のシャッターを上げる人が居る。外を見ると遠くが茜色に染まっている。あれは夕焼けなのか、朝焼けなのかさっぱり分からない。

ところで私はるるぶイギリスと週刊現代を買って機内に持ち込んだのだが左横が若い女性なので週刊誌を開けることが出来ない。残念。

22時20分ごろ、2回目の食事。今度は和食か洋食か聞いてくることも無く問答無用で洋食を持ってきた。「うどん定食」って言おうと思っていたのに。

23時30分ごろ(到着30分前)ロンドンの天気くもり時々雨、気温10度のアナウンス。

ヘッドホンからは22才の別れやなごり雪が聞こえている。70年代のフォーク特集か。五輪真弓の歌も聞こえるが彼女は今どうしているんだろう。最近全然聞いたことが無いけど。五輪真弓は眉間にシワを寄せて「私はこんなにいい女なのにどうして分かってくれないの?」と言う感じで歌っていたときの方が良かったよね。結婚したら歌が平凡になってしまった。結婚して歌が悪くなる歌手の典型である。(かつては彼女のLPを何枚も持っていた私がここまで言うか?)

24時7分(現地時間15時7分) ロンドンヒースロー空港着陸。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
出国審査も簡単。税関も素通り、手荷物の番号を照合することもなく出てしまった。あとは迎えに来てくれているはずのロンドン駐在員A君の迎えを待つのみ。待っている間、私の周囲はインド系やイスラム系の人がいっぱいである。なんなんだ、この空港は。30分ほど待っているとA君が現れた。正直ホッとする。

早速今日泊まるホテルに向かう。夕方4時過ぎだが既に暗い。道路には街灯も有るのに何故だろうと思ったら街灯以外の明かりが一切無いのだ。ネオンや自動販売機が道端でドギツク光っている日本がなつかしい。

ホテルはテムズ川のほとりに有った。3階建てのホテルでエレベーターが無い。狭い階段をスーツケースを持って上がろうとしたが疲れなのか階段に引っ掛けてしまう。見かねてA君が部屋まで運んでくれた。部屋はヒーターが入っていて暖かい。バスルームを見るとバスタブが無くシャワーだけである。少々がっかりである。今回の出張でこのホテルが一番高かったのにシャワーのみ!!!
ホテル室内 

シャワーを浴びて10時ごろベッドに入る。しかし1時頃、2時半頃に目が覚めた。日本時間で言えば午前10時、11時半だ。体内時計は日本時間のままなのだ。なんとか目を閉じて4時まではベッドの中に居たが結局もう眠れないと思い、おき出してテレビの電源を入れる。テレビを見ながらメモ帳に日記をつける。つまり今書いている文章の原稿だ。

ニュース画面を見ると日本の国会が写っており首相の不信任案が否決されたような雰囲気である。次は天気予報。この画面を見ると天気予報図は万国共通であることが分かる。気圧配置図や前線の表示など日本と同じだ。

関空で世界時計と目覚まし時計の機能がついた電子辞書を買ったが、電子辞書はともかく世界時計は必要なかったようだ。日本時間はイギリス時間に9を足せばいいのである。この程度の暗算ならサルでも出来る。ただしアメリカ出張の時には役立つかも知れない。アメリカは東西に広いから一つの国でいくつもの時差がある。日本時間に換算するためには14とか17を加えなければいけない。2ケタになるとサルでは出来ないのだ。

朝ホテルにA君が迎えに来るのは7時だ。まだまだ時間がある。今度はこの電子辞書のマニュアルを読み始める。しかしこの手の電子製品のマニュアルは字が小さいのだ。ついに老眼鏡を取り出した。

6時ごろ最後の時間つぶしの手段。ノートPCを持ち出した。出張に来て初めてである。実は日本を出発する前日は娘の誕生日だったのだが、その誕生日に写したデジカメ画像を取り込むことなく出発してしまったのだ。その画像を読み出してPCのデスクトップの背景画面に設定する。これで出張の間私と娘は一心同体である。

   

結果的にこの作業は大正解だった。スコットランドでもアイルランドでも仕事場の女性に私のPC画面を見せて<これが私の娘だ>と言うと<イヤン、めちゃ可愛いヤン>と言われてデレッとした顔を見せるだけで私が善良な市民であることが証明された。
仕事時間中は何もしゃべらない不気味な日本人と思われているかもしれないので、これだけでも印象が良くなる。

11月25日
戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送